皆さん、こんにちは、中医営膳会の若槻です。
2014年9月20日(土)に、創立三周年記念イベントを開催しました。
中医営膳会の3年間の歩みを振り返り、営養・薬膳の将来を展望するイベントです。

会場は池袋東武スパイスの中国湖南料理の 名店「華湘 」さんです。

この日、中医営膳会の三歳のお誕生会に、福岡、石川、名古屋、京都など全国から多くの方々が お祝いに駆けつけてくださいました。

参加者の方々には、刷り上がったばかりの創立三周年記念集とともに、記念品として、梁ペイ代表が北京から取り寄せた 「青華筆」(白地に青色の模様が飾られた陶磁器製のボールペンで、もちろん、中医営養・薬膳学研究会のネーム入りです)が贈られ、開会を待つ会場内には笑顔や笑い声が広がりました。

やがて、個室三つを繋げた会場は、10人掛けの四つの円卓がいずれも満席となり、 予定通り15時から、三周年記念イベントが賑やかに開幕しました。

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今回のイベントの第一部は講演会と論文・レシピの発表会です。
演壇に立った梁 ペイ代表が、ニコニコしながら冒頭に発した
   「三歳になりました。まだヨチヨチ歩きですけれど、これからだんだんシッカリ歩き出します。。。」
との言葉でご参加いただいた皆さまの顔に笑みが浮かび、会場が和やかな雰囲気になったところで、 基調報告が始まりました。

演題は、「中医営膳会のこれまで、そして、これから」。
中医営膳会創立以来の理念「正しい知識を正確かつ誠実に伝える」、「理論と実践を兼ね備えた薬膳」に沿って、 本会の活動を、「育てる」「究める」「伝える」「繋がる」「広める」の5本の柱の下に位置付けて、 中医営膳会の3年間の歩みと、今後の活動予定・抱負などを概観するというお話でした。

一過性の薬膳ブームが過ぎた後、残るのはきちんと知識を備えた人だけだから、 その育成をしていきたいという先生の熱い思いは、 初めてお会いしたときからいまも変わることがありません。
ただやはりその道のりは順風満帆ではなく、頓挫しそうになりながらも、 薬膳講師養成講座にはじまり、各種講座や講師の派遣まで、 着実に歩みを進め、人と会を育ててこられた3年間と未来を感じました。

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続いての招待講演には、北京中医薬大学日本校で教鞭をとっておられる桜林玲子先生をお招きしました。
「中医の教え~自然な生き方~」との題でお話しくださいました。
食事の重要性について多方面から改めて考え直してみることができました。

 • 簡単に食べ物が手に入る世の中ですが、粗末な食事で体調を崩す人の多いこと。
 • 古代中国のお医者さまに「上工・中工・下工」があり、 「上工」つまり名医は、病気にさせないお医者さまであり、クオリティーオブライフ(QOL)が提唱される昨今、 食事で病気にならない体を作るのが大切であること。
 • 西洋医学と中医学が対立するように言われることが多いが、 両者は決して対立するものではなく、それぞれの良さを生かしていけばいいこと

など、一人一人に語りかけるような優しい話され方に素直に心に響き、また深く心に残るお話の数々でした。

数年前、私も北京中医大日本校の薬膳専科の生徒として教えていただいていたので、 教室でお聞きしたエピソードもあり、とても懐かしく、初心に帰るひとときでもありました。

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さて、次はいよいよ、三周年記念論文・レシピの発表。
本会としては初めての試みとして、三周年にあたって記念集に寄せていただいた論文・レシピより 優秀賞に選ばれた方による発表です。

優秀論文に選ばれたのは「重陽と菊花」を書かれた近藤 亜希子さんです。
茶道や華道をされていて、幼い頃から身近に二十四節気などの季節の移り変わりと、 それに伴う日々の暮らしや行事に親しんでこられたそうです。
 
まさに身についた日々の暮らしと深い知識から薬膳をご覧になっているので、 理論にもかない、また私にとってはとても新鮮でありました。

先生の講評では、まず、他の論文もとてもすばらしかったので、是非読んでほしいとのこと。
選考のポイントをいくつかお話しされましたが、 そのひとつは、秋に菊花をもってくるところだったそうです。
秋のはじめなので、夏の熱をとらずに、秋だからと潤いを求めると湿熱になってしまうなど、 初心者の教科書どおりでなく、実際の季節に合わせた考え方ができるようになってほしいとの願いもこめられているそうです。

優秀レシピに選ばれたのは「夏バテを解消! 夏の薬膳茶」を書かれた鈴木 聡実さんです。
中国茶や日本茶の専門家で、お茶の種類についても詳しく解説してくださいました。
ガラスの蓋碗を使った薬膳茶は、茶材の彩りも鮮やかでとてもおいしそうです。

レシピもすばらしい作品が多かったのですが、 先生の選考のポイントのひとつに、施膳方針、性味表、分析などがしっかりしていたことをあげられました。
夏の薬膳茶ということで、「夏」の季節についても詳しく解説があり、 適切な施膳方針に従って材料を選び、お茶や料理に仕上げることが重要ポイントです。

優秀論文・レシピを含め、ご応募いただいたすばらしい論文・レシピの数々は 『創立三周年記念集』でご覧いただくことができますので、 是非手にとってみてください。

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さて、第二部はいよいよお食事です。

華湘 秦 由弘 総料理長と梁 ペイ先生の共同プロデュースによる湖南料理の薬膳コースです。
湖南料理は中国の代表的な料理の中で一番辛い料理といわれているようですね。
確かに真っ赤な唐辛子が何本もお皿にあがるお料理もありましたが、 並んだお料理は全て優しい味わいで滋味深く、 辛いものがかなり苦手な私でもなにも気にせずいただくことができました。

はじめの一皿、前菜の盛り合わせの、山芋のゼリー寄せ、トウモロコシのひげがのっていたのがまず印象的でした。
フカヒレとタラバガニのスープはとろりとしてとてもおいしく、添えられた野菜のピクルスに引き締められます。

北京ダックは頭付きでくちばしまで美しく焼かれ、秦総料理長ご自身が切り分けてくださる前に美味しそうに姿焼きにされたダックが各テーブルで披露され、話題になっていました。
それをさばく秦総料理長の手技もすばらしく、またたく間に皮に包まれてテーブルへ配られました。
 
会食中には、応用薬膳講座で講師をお願いした吉野 甘草 先生(NPO法人 全日本薬膳食医情報協会 常任理事)、一周年イベントの招待講演・シリーズ講座などで本会にも何度もご登壇いただいている李 玉棟 先生(順天堂大学 研究員)からお祝いの言葉とともに薬膳勉強に関するアドバイスなどを頂戴しました。皆さんが箸を止めて真剣に聞いている様子が印象的でした。
営膳会から社会へ活躍の幅を広げる方が増えることは、うれしく、また自分もしっかり勉強して活かしていかないとと引き締まる思いです。
お料理は器や彩りもすばらしく、体の隅々の営養になりました。
予定時間を1時間過ぎて、中国のドーナツ「開口笑」で乾杯の閉会でしたが、 話し声も笑い声も尽きることなく、とても賑やかで楽しい記念イベントとなりました。

3年前、ほんの十数人が声掛けし合って細々と始まった中医営膳会ですが、今では会場が窮屈なほどたくさんの方にお集まりいただき、 話し声も会場いっぱいにひろがり、再会した薬膳仲間、新しくできた薬膳仲間と、楽しくおしゃべりし、情報交換の場にもなれる会に成長したことに、 胸が熱くなりました。

ご来場くださった方も、残念ながらご予定が合わずご参加になれなかった方も、 あたたかいお祝いをありがとうございました。
今後とも、引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。
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中医営養・薬膳学研究会
企画・運営担当
(2014.09.28)